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楽園という夢




 ぼくが中学生の頃でしょうか。
 やたら南の島に憧れたことがありました。
 それは当時、1980年代だったかな、海外旅行がブームで、雑誌やテレビで見たような南の島のリゾートに行くということが現実的になってきたことと少し関係しています。
 珊瑚礁、白い砂、青い海、青い空、ヤシの木…というお決まりのイメージです。
 そこはもしかしたら楽園かもしれない。
 日本のようなギスギスした競争ばかりで、なんでも金のような社会ではない、かなり楽園に近いところかもしれない。
 そんな風に思いました。
 もちろんその後、海外旅行もし、いろいろな島やリゾートに行き、世の中のことが少しわかるようになって、楽園というのは幻想だということは理解できるようになりました。
 どちらかというと島の暮らしというのは、自然環境という面でも、経済的な面でも厳しいことも知りました。
 それでもなお、ぼくの中には南の島は楽園に近いのではないかという思いがあります。
 それは昔のような単純な楽園のイメージではなくなりましたが…
 たとえば日本や欧米の経済的に豊かな国というのは、民主主義、資本主義、法治国家、競争社会、効率重視、成長重視という概念を共有していて、それが良いとされていて、それに対立する概念として共産主義や社会主義のような考え、あるいは最近ではイスラム原理主義的な考えを仮想敵と見なしています。
 世界にはいくつかの対立軸しか、存在のあり方がないかのように思わせられていますが、実際に世界を旅してみれば、そうしたイデオロギーとは関係なく日々を暮らしている人々の方が圧倒的に多いように感じます。
 つまりなんとか主義とか、競争とか効率とか成長とは関係なく、日々の暮らしや人間関係でコミュニティが成り立っているのではないかと思います。コミュニティの集積が国であったとしても、個人が暮らすうえで直接関係するのは家族だったりコミュニティだったりするわけで、国とかイデオロギーってそんなに大事ではないかもしれない。でも宗教は大切ですけど…
 南の島が楽園に近いと思う理由は、以下のとおりです。
・暖かい。暖かいと人は寒さで死ぬことはない。作物も育ちやすい。住居や服も簡素で住む。暖房のための燃料やそのための費用が要らない。暖かさは人類が生きることを容易にする。
 四季があり(つまり冬があり)プロテスタントである国で資本主義が発達したと社会学の古典でいわれているように、寒いことで人は、何かを保存したり、貯蓄したりすることの必要性に迫られる。そこから貧富の差や競争や効率という考え方が育つ。
 暖かいとだいたい人はリラックスして、オープンに、おおらかになる傾向がある。
・海がある。海産物を獲ることで食べていける。
・島というのは、たいてい人口が少なく、海で隔てられているため外からの敵が襲って来にくかった。競争や戦争からは比較的遠い風土があった。仮にどこかの大国の属国になってもそれはあくまで遠隔地としての属国である。これはヨーロッパや中東のように、競合する隣国と接している地域とは状況が違う。
 理屈をツラツラと書きましたが、その元になっているのは、これはもう実感レベルのことでして、南の島に何週間か滞在して、東京に戻ってくると、その時間の流れの速さや人口密度やギスギス度合いなどの違和感で頭がクラクラしてしまいます。
 なぜ、ぼくは東京(というか関東ですけど)では、すごく緊張して暮らしているのに、南の島に滞在している間は、あんなにリラックスして、ゆったり、のんびり過ごしていたのだろう?ということが、南の島楽園説の始まりです。
 いくら分析してみても分析しきれないものはたぶん存在するのではないか、そしてそのひとつが南の島の雰囲気ではないかと思います。





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