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海辺のボートハウスっぽい鄙びた家




 海辺を優雅に散歩している(うろついているわけじゃない)ことが多いぼくですが(ヒマなんじゃない)、そうすると「ああ、この家いいなあ」ということがたまにあります。
 そういうのを住人の方に迷惑にならない範囲でご紹介できたら、海辺の暮らしの楽しさが少しは伝わるんじゃないかとか、今、海辺に住んでいる人にも参考になるんじゃないかと思って始めたのがこのシリーズ。
 渡辺篤史の建もの探訪の海辺版を目指しています…んなわけないか?

 さてさて、今回は三浦半島の西岸のとあるビーチにある家です。
 この家、砂浜の続きに建っているというか、ほぼ砂浜に建っているといって過言ではないんです。そのあたりの思い切りの良さに敬意を表して200年の伝統ある「Award of Seaside House」(ウソだよーん)を贈りたいと思ってしまうほどです。

 海辺に住んだことがある人ならおわかりいただけると思いますが、砂浜に近いところの家は、単に住むというだけでずいぶん手間がかかります。
 風が吹く
 砂が家の中に入ってくる
 潮風で窓ガラスがベトベトになる
 湿気が多い
 いろんなものが錆びる
 夏になると観光客が覗いたり、ゴミを捨てていったりしやがる
 津波とか心配
 その他いろいろ

 というわけで、その苦労がわかるだけに住んでいる人に対してすごいなーって思うんです。
 海好きなぼくですが、さすがにその選択はしたくてもできません。
 ちなみにぼくの家は海辺から徒歩3分ほどですが、砂が入ってきたり、砂で窓ガラスが傷ついて曇りガラスみたいになったり、給湯器・エアコンの室外機が錆びて5年程度で交換しなきゃいけなかったり、室内なのにコンピュータが錆びて2年ももたなかったり、車が錆びてマフラーがボロボロになったりって、もうキリがないのでやめておいてあげましょう。

 で、この家はさらにいいことに、住んでいる人がメッタヤタラと勝手に自分で手を入れている様子。そのあたりの楽しみ具合もエエ感じです。
 常々思っているんですが、自分で家を所有しているのなら、勝手にどんどん手を入れて自分の好みにしていくのがいいというのがボクの持論です。建築家やディベロッパーのお仕着せってやっぱり自分の暮らしにぴったりフィットしないと思うんですよ。
 そういう点でこの家はエライ。
 勝手に一方的に褒めちゃいます。




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里山の頂上にあるブランコのある家




 ボクの家のそばに里山があります。湘南国際村として開発されちゃいましたが、それまでは三浦半島でも自然が豊かなまま残るとてもいい場所でした。
 今でも少し自然は残っていて、やっぱりそういう里山の暮らしが好きな人がいらして、ポツンポツンと家が建っています。
 海までもう少し近ければボクも住んでみたいですけど…

 今日ご紹介するのは、そんな里山を登りきったところにある小さな家です。庭に手作りのブランコがあって、ここを散歩する度に、この家のお子さん達が泥だらけ草まみれになって楽しそうに遊んでいる姿を微笑ましく見ていました。
 このあたりは道が狭くて車が入ってこないんで、子供が安心して転がり回って遊べるんですね。
 こういう場所って三浦ではずいぶん少なくなってきました。

 子供の小さな楽園をいつまでも残していきたいですね。できれば増やしていきたいですね。

 ちなみにこの家、決してオシャレではありません。でも土地に馴染んで、地面から生えてきたような安心感があります。こういう家が増えるといいですね。
 外国から持ってきて、取ってつけたようなコジャレた家を建てていい気になっている頭でっかちな建築家の姿勢に疑問を感じます。人や暮らしに関する考えや洞察が浅いんじゃないでしょうか?






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ノンビリした雰囲気が漂ってくる日本家屋




 近所に古い日本家屋に手を入れてやってるお店があります。
 何年前にできたかなーって思うんですが、そういうのって歳とると、時間の経つのが速く感じられて、ついこの間のことだと思っていたことが実際は随分昔のことだったりします。
 時間が経つスピードって相対性理論みたいに個人や個人の置かれてる状況によって、実は違ってるんじゃないのか?と思ったりします。
 ぼくの会社の同期のA君は同い歳だけど、最近めっきり老け込んで、一世代年上の人に見えたりするから、ヤツの時間はボクよりも高速で流れているのかもしれないと思ったりしてね。

 あれ?何の話でしたっけ?

 そうこのお店、服や雑貨を扱っているんです。
 ぼくはこういう佇まいの建物が好きです。持ち主の手が入った、というか思いが入った建物が好きなんだと思います。そしてこういう持ち主の手が入ったお店が好きです。

 海辺に住んで、20数年、近所の人が引っ越して来て、引っ越して行きました。新しい建物が建ち、これまでの建物が壊されてきました。そういうのを見るにつけ、家というのはそこに住む人の人柄、暮らしぶり、価値観を表しているなあとつくづく思ったりしますが、そんなのはボクが暇だからでしょうか?
 建築家が設計した小綺麗でお仕着せのような建物にそのまま住んでいる人は、どことなく土地に馴染んでいないか別荘族だったりして、なんというかよそよそしい感じがします。一方、建物に自分で手を入れて、自分の思いを反映させていく人は、なんとなく魅力的で、自分の価値観で自分の人生を送っているような感じがします。
 って書いていて、それはボクがそういう先入観で見ているからかもしれないと思いました。そのへんは少し割り引いて読んでください。

 なんか建物のことを書いてるうちに大袈裟な話になって、そのうち人生訓をタレたりして、嫌なヤツになりそうなので、この辺でやめときます。




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海辺の田舎町にそぐわないのは「作りすぎてしまった家」かな?




 海辺の田舎町に住んで20年。ご近所さんも入れ替わりがあり、新しい建物も建ちます。
 これはセンスがいいなという建物もあれば、ムムムというのもあります。
 ムムムの代表格が「作りすぎてしまった家」です。

 海辺の田舎町に住んで、周りを見ていてしっくりくるのは、昔ながらの日本家屋とか木材をベースに作った家で、しかも持ち主が自分の好みで手を入れていく家です。

 作りすぎてしまった家というのはこれと正反対です。
 なんか取って付けたというか、どっかから持ってきたというか、施工をプロに任せきりというか、要するに町に馴染んでいないのです。
 最近は特にそういう家が多いような…
 他人の好みの問題ですからなんともいえませんが…

 だいぶ前のことになりますが、七里ケ浜にWEEKEND HOUSE ALLEYというコンクリート打ち放しの洒落たビルが建ちました。
 某有名大学出身の有名建築家が設計したということで、建築雑誌では好評のようでしたが、ぼくにはその良さがまったくわかりません。
 七里ケ浜の一番いい場所に随分無粋な建物を建ててくれちゃって、景観が損なわれたなと思います。

 これから家を建てる方はご参考まで…




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海が望める持ち主の思い入れがある森に囲まれた家



 この家海から急斜面を登った森の中にあります。
 持ち主が手を入れて、家を大切にしている感じが出ていますね。
 ぼく的にはこういう家、大好きです。

 木造というのも海辺には適していますし…

 コンクリートだとどうしても鉄筋が錆びていきます。
 いつも不思議に思うんですが、コンクリートというのは経年変化でなんであんなに薄汚れた感じになっちゃうんでしょう?

 木造だといい感じにヤレていくのに…







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海辺に合った建物とは…

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 海辺に住んで20年くらいになりますが、その間友達や近所づきあいなどでいろいろな人の家を訪れる機会がありました。
 で、家の造りによって、快適さや耐久性がずいぶん違うということに気がついたのです。ただ、この意見は相模湾沿岸の話しでして、他の地方には当てはまらないかもしれません。

 最悪なのは鉄筋コンクリート打ち放しで、潮風などの湿気が結露して、壁はカビが生えて、掃除してもとれなくなっているほどですし、鉄骨が錆びてモロくなっていたりします。

 機密性の高い家も海辺には向かないかもしれません。どちらかというと風通しを良くした方がいいような感じです。冬は寒いですが、その分、ストーブなどでガンガン温めるという割り切り方をした方がいいと思います。

 今まで訪れた中で一番感心したのは、木造の高床式で、家の海側と反対側が大きな窓になっていて、風が抜けるように作ってあった家でした。
 高床式なので、湿気がこもらず、虫も家の中に入りにくくなっていました。風が抜けるので夏でも湿気がこもりにくく、比較的涼しく過ごせるようでした。
 しかもトイレやバスに大きな窓があるのも、海辺で暮らしている人にとっては、大事なことですね。
 壁も壁紙だとカビることがあるので、その家は珪藻土の塗り壁になっていました。

 というわけで家というのはやっぱり土地に合った造りというのがあるんですね。

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サーフボード



サーフィンする人にとって、大事なサーフボードはすぐ見えるところに置いておきたいですよね。もちろん劣化を避けるために納戸や屋内の物置しまったりすることもあるんですが、インテリアにしちゃっている人を見かけます。

ドーンとリビングとかに置いてたりしますね。
そういう人はたいてい邪魔にならないように天井や壁や梁にラックを使って置いたりして、工夫しているようです。

他のパターンでよく見かけるのは、折れたりダメになったボードを加工してうまくインテリアやエクステリアのアクセントにしている人。
これもいいアイデアですよね。サーフボードは早い人だと1年くらいでダメになりますから…

すごく気に入っていたボードが折れて、ちょっと捨てられなくて、インテリア・エクステリアにしている気持ちよくわかります。
以前、折れたボードにペイントして表札にしている家を見かけました。なんとも微笑ましい感じがしました。

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レンガ

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新建材、アルミなどで作る家というのは、メンテが楽で耐久性もあって価格も手ごろなんですが、経年変化がなくて味わいが今ひとつですね。
といっても、メンテにあまり時間を取られるのもツライところです。

今回は海に合う家づくりの素材としてレンガをオススメします。
家の花壇や門柱、アプローチをレンガで敷いていみると、味がでます。
素人のDIYでも初心者レベルです。

家の壁に使うという手もありますし、余裕がある方は暖炉やバーベキュー用の窯を作ってみるのも趣味っぽくていいかもしれません。雑誌でピザ窯を見たことがあります。

使うにつれて苔がついたり、欠けたり、汚れたりしますが、それも味のうちです。目地が傷んできたら、モルタルか漆喰で固め直します。できれば白い色の漆喰がいいですね。モルタルだと灰色っぽくなってしまいます。
そうすると雑誌で見たイギリスや南ヨーロッパの家っぽくなります。


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ステアリング

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ステアリング。そうです船の舵です。この飾り物もよく見かけます。大きさも風合いもいろいろですが。漁師さんの家に行くと、本当に風雪に耐えた舵が置いてあって、歴史とその間にあったいろんな苦労が想像されます。

別にそんなにこだわらなければインテリア用のものが売っています。ちょっと高いという気がしないでもないですが。
これにペイントして自分の気に入った色にしている人もいますね。

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漆喰の壁

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海辺を散歩して、家々を眺めていると、「あっこれはいいなあ」っていう外観の家があります。いくつか要素があるんですが、素材としては、漆喰は感じがいいですね。それもわりとざっくり大雑把に塗ってあるところ。

白の漆喰だとちょっとギリシャの島々の建物みたいになりますし、オレンジっぽい色をつけると南フランスっぽい感じになります。
ただ、年が経つと汚れがついてきますので、定期的に塗りなおすことは必要かもしれません。

もうひとつは木ですね。木は潮風に比較的強いし、経年変化で味がでます。ただ虫が食ったり、材が反って隙間ができて、断熱性も低下するし、そこから虫や蟻や蜂が入り込んだりする心配があります。防腐と木の保護のために塗料を塗らなければならないようです。

でもまあ自然の素材で家を作るとメンテはどうしても必要です。そうして時が経つと味が出るということでしょうか。

ちなみにレンガを積んで固める時も、目地の下地はモルタルでやっておいて、最後の仕上げの外から見えるところを漆喰でやると味わいがあって、強度もあって、値段も抑えられます。



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