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都会生活の海、田舎暮らしの海



 以前、東京湾沿岸の町に住んでいたことがありました。
 職場にある程度近くて、できる限り海のそばで暮らしたい思いとの妥協案でした。
 自分は「湾」とか「港」というのは好きではないんだな、とそのときはっきりわかりました。
 コンクリートで固められて、機械類があって、たいてい埋立地でノペーとした平面的な土地で、碁盤の目のように太い道が通っていて、そういう人工的な環境に馴染めませんでした。
 先日、東京湾岸のタワーマンションに住む友人の家に招かれて、以前の自分のストレスフルな気持ちを思いだしたのでした。
 それでぼくは「湾」とか「港」ではない相模湾沿岸の土地に引っ越しました。そこは比較的自然が残っていて、田舎の海辺の漁村の雰囲気が残っているところで、ぼくはそこの土地は気に入ったのです。
 都会での仕事を終えて、自宅に帰ってきて自然を眺めるとホッとするからでしょう。
 同じ海でもずいぶん違うんですよね。
 よく行く八丈や三宅から船で帰ってくるとき、房総半島や三浦半島が見えてきて、やがて東京湾に入るわけですが、それまでの紺碧の海から黒く濁った海に変わります。そして沿岸の風景はコンクリートで固められたグレーになります。
 楽しい旅行から帰ってきて、明日から仕事ということと、東京湾の薄暗い風景があいまって、なんとかく下向きな気分になるのです。
 でも、自分も首都圏に生活する身として、東京湾の港に陸揚げされる物資を消費し、コンビナートで作られた素材でできた製品を使い、電気やガスの恩恵を受けて暮らしているわけなので、東京湾が汚くて暗いと一方的に非難するのもどうかな、と思ったりします。
 ぼくなどは、海を汚して得た快適な現代生活と、住む場所は比較的自然が残された海という両方のいいところを利用させてもらっているわけで、ある意味、いいとこ取りをしているともいえます。
 人が暮らすうえで現実的に工業化が必要なのだとしたら、そうした設備が集積する場所と、人が暮らしやすい場所は分けた方がいいかもしれないと思ったりするのです。
 たとえばですが、東京湾のあるエリアには港や工場群が集積していて、それ以外の場所は自然を残し住居として快適な街造りをするというようにしたらどうでしょう。
 今の東京湾は千葉から神奈川までほとんど工業地帯になっていて、あまりにも暮らしにくいと思うのですが…
 それは太平洋ベルト地帯全般にいえることですが、たとえば静岡県なんて、太平洋に面している沿岸の距離は長いわけですが、工業エリアと自然保護エリアと分けたら、ずいぶん魅力的な海辺に変わると思います。
 高度成長期に工業化を進めたことは日本にとって大切なことだったのでしょうが、時代が変わって、人々が工業地帯が続く風景を味気ないものと感じ、もっと自然を大切にしたいという機運が強くなっている時代に、街造りはついていっていないような気がするのです。






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