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ウォータースポーツの楽しみ方と車という存在



 メディアなどでよく耳にしますが、今の若い人達は車を買わなくなったそうですね。本当ですか?本当かどうか知りませんが、ぼくの周りの20代、30代で車を持っていない人は、ぼくらの頃よりは多い気がします。
 別に車なんて、なくて済むならそれでよくて、必要ならその都度借りればいいと思います。
 ただぼくの場合は、車は必要です。田舎に住んでいるから買い物に行くのにも医者に行くのにも車が必要ということももちろんありますが、もっと重要度の高い必要性があるんです。
 具体的な例があった方がわかりやすいかもしれないので、自分が20代の頃のことを思い出してみたいと思います。
 ぼくは大学生の頃からスキューバーダイビングとサーフィンをしていました。スキューバーダイビングを始めた頃は、都市型ショップに、金曜日の夜に集合して、ショップの車で伊豆のダイブサイトまで送迎してもらって、そこで泊まって、日曜日の夜にやはりショップの車で東京に戻ってくるということをしていました。
 そうでないときは電車とか船でダイビングできるところまで通っていたのです。そんなわけで、自ずとダイビングできるポイントは限られてきます。別にそれはそれで楽しかったんですが、だんだん別なポイントにも潜りたくなるのが、こういう趣味人というものです。
 サーフィンの方はというと、電車にボードを持ち込んで、湘南に行ってました。これも行けるポイントが限られてくるという点では同じですね。
 たとえば電車で伊豆にダイビングに行くときは、その当時、営団地下鉄(昔はこういう名前でしたね。今はメトロです。)の沿線に住んでいたのですが、始発に乗ると、ギリギリ伊豆急伊豆高原駅のダイブサービスピックアップ集合時間に間に合う感じでした。帰りも伊豆高原駅とか城ヶ崎駅を3時か4時くらいに出発していました。
 なにがいいたかというとウォータースポーツをする場所やタイミングや時間が制限されていたということなのです。
 そんなわけで、ぼくが車を買おうと思った一番の動機は、いつでもどこでも行きたい海に行って、いつでも戻ってこられるから、というものでした。
 今でも覚えていますが、車を手に入れて、一番うれしかったのは、西伊豆とか東海とか関西のダイブポイントに行けるようになったことと、電車の時間を気にせず行動できるようになったことです。
 金曜の夜に仕事を終わらせて、自宅で着替えて、車にダイビング器材を積み、伊豆の宿まで向かいます。途中、サービスエリアやレストランでおいしい食事を摂れるのも楽しみでした。宿で寝て、翌日は朝からダイビング、土日もダイビング。日曜日の夜も終日海で遊んで、さらに宿で寝て、翌朝5時くらいに伊豆を出発して、自宅に寄って着替えて、仕事に行くということができるようになりました。これはぼくとしては画期的なことで、しかもすごくうれしいことだったんです。
 あるいは休日にふと思いついてダイビングに出かけるということもできるようになりました。
 はたまた車にダイビング器材を積んで伊豆をドライブしながら、なんとなく潜りたいポイントのサービスに寄って「今から潜れる?」ということもできるようになったんです。
 おぉ、ちょっとしたことだけど結構自由…
 これはサーフィンでも基本同じなのですが、サーフィンはダイビングよりも場所を選ばないので、より車の可能性が活かせたといえます。車で行ってポイントを探して乗れるところで乗ればいいわけですから…
 そんな感じで車を手に入れた一番のメリットは、ウォータースポーツをする場所や時間の制限が外れたことですが、副次的なメリットもありました。
 それはすでにおわかりかもしれませんが、荷物を持ち運ぶ手間が省けたことです。
 車がない頃は、ダイビング用トロリーで引っ張りながら電車を乗り継いでいました。ほぼ毎週のようにダイビングに行くし、独り暮らしで当時宅配ボックスはまだ普及していなかったので、宅配便で送るという選択肢はほぼなかったのです。もちろん島や遠方に行くときは宅配便を使っていましたけど…
 サーフボードも、ご想像ができると思いますが、あれはあれでなかなか持ち運びに気を遣うものです。それに多くの路線バスがサーフボード持ち込み禁止だったりするので、電車で行けるところでしかサーフィンができませんでした。それも車にボードを詰めるようになったことで解決しました。
 もうひとつメリットがあるのです。それは車中泊ができるようになったことです。特に近所に宿がないようなポイントに行った時、車で寝泊まりしてしまえばいいというのは、ぼくにとってはかなり画期的でした。今は歳をとったので、宿でゆっくり眠りたいと思いますが、若かった当時は、車で寝てもそれほど身体に負担はありませんでしたから。
 さらに車中泊という行動パターンは、ぼくがその後アウトドアっぽいことやるきっかけになったんです。
 たとえば周囲に宿もコンビニもないポイントでサーフィンをして車中泊をするとき、水や食料はある程度買っていきます。そうするとだんだん料理をするようになったんです。いえ、たいしたものは作りませんが、やっぱり温かい物を食べたいし、出来合いの弁当ばかりだと飽きるから料理するようになりました。
 それでキャンプ用のガスバーナーを買い、アウトドア用のテーブルとチェアを買い、寝袋を買い、クーラーバッグを買い…というようにキャンプができるくらいにだんだん装備が整っていきました。
 ビーチで、テーブルとチェアを出し、地魚や地元で摂れた野菜を使った料理をして、ビールやワインを飲むという感じで、それは自分でもなかなか満足できるものになっていきました。しかも目の前には大好きな海、そこに夕陽が落ちていく…これって高級なホテルに泊まるよりも楽しいことだなと思ったんです。
 さてさてまだ話は続くのです。
 車があることを前提にぼくはさらにウォータースポーツの楽しみを加速させました。あるときからシーカヤックをやるようになったんですが、このシーカヤックについては、最初から車で行きたいところに運ぶことを前提にしていました。もちろん自分ちの前の海でもシーカヤックはやりますが、たぶんいずれ別の海でもやりたくなるだろうと予想していました。なので、車もシーカヤックが積みやすいものを選んでいます。シーカヤックも車に積むことを前提に選んでいます。
 ぼくの海遊びスタイルは、いつでもどこでも行きたいポイントに車で行き、サーフィンかシーカヤック+車中泊というパターンとスキューバーダイビングかシーカヤック+宿というパターンが選べるようになったわけです。
 なんだか自動車メーカーの販促みたいになってしまいましたが、そんなこんなでぼくのウォータースポーツや海辺の楽しみ方には車が大きく関わっていますし、その後ウォータースポーツの楽しみ方が加速したのにも車の存在があったからというのは、まあ事実として認めざるを得ません。











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