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うれしいときも悲しいときも海と共に…



 ぼくは、妻があきれるほど、暇があれば海に出ています。
 やることはそのときの海況によって違うんですが、スキューバーダイビング、シーカヤック、サーフィン、セイリングが多いのです。
 よほど海が荒れていない限り、雨でも寒くても海に出ます。
 それはそれだけの効用があるからで、身体を動かすと気持ちがスッキリしますし、海にいるといろいろなことを考えるし、一方でいろいろなことを忘れられるからです。
 何十年も生きていれば、そのときどきで、うれしいこと・楽しいこと・悲しいこと・腹立たしいことなどがあります。
 それらの感情が、海に出ている間にサッパリ流れていくのです。
 こうした日々の感情は、後から振り返ってみればどれも取るに足りないことです。どちらかというとその瞬間の感情に振りまわされて、自分が自分らしくないことをしがちで、瞬間的にはマイナスなことの方が多いような気がします。もちろん自己嫌悪に陥ることも多々あります。
 海に出ると、不思議なんですが、そういう瞬間的な感情がどうでもよくなるんです、ぼくの場合…
 ぼくがこだわったり怒ったり悲しんでいたりすることは、コップの中の嵐でもなくコップの中のさざ波のように思えてくるんです。
 そしてそれは経験的に正しいことが多かった。そんな感情は一時的なさざ波でしかなかったのです。
 一時的にやり過ごしてしまえばなんてことないことです。
 もし感情に捕らわれて、自暴自棄になったり他人に当たり散らしたりしたら、事態はもっと悪くなっていたでしょう。

 想像するに多くの人が、様々な感情を抱きながら生き死んでいったのでしょう。でも、それは現実としては何も残っていないし、世の中はたぶん何も変わっていないのです。
 ならばそんな感情に捕らわれず、淡々と日々過ごしていけばいいのです。
 このように海で遊ぶことは、ぼくの感情的なブレを抑制してくれるスタビライザーのような役割を果たしています。
 これからも身体の動く限り海に出ていくのだろうと思います。
 そのときどきの感情を海に流すために…








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