海の贈りものを受けとる場所
「海辺で毎日をていねいに大切に暮らしたいな」と思い続けてきました。
海辺の暮らしの中で気づいたこと
海のすばらしさ・楽しさ
ウォータースポーツの楽しさ
などなどをご紹介できたらいいな。
むかーしスキューバーダイビングがオシャレだったの懐古談
ぼくがスキューバーダイビングという言葉を初めて耳にしたのは、1980年前半だったと思います。ぼくはまだ小学生でした。テレビで海中の様子を映すシーンがメインの番組を見ていると、流れの中でレポーターがスキューバーダイビングというものをやっていました。
当時、ウォータースポーツといえば、サーフィンが廃れ、ウインドサーフィンが流行っていました。そこにまた新しいウォータースポーツの登場という感じで受けとめられていました。
人が海に長時間潜って自由に行動できるというのは、なんとも夢のような話で、カッコイイ、いつかやってみたい、と感じたのを覚えています。
もちろんダイビング自体はもっと以前から行われていたのですが、軍事・漁業・建設といった職業的なダイビングが主流で、遊びで潜るレジャーダイビングはポピュラーではありませんでした。
その頃はまだスキューバーダイビングという言葉自体が一般的ではなくて、アクアラングという器材メーカーの名前で呼ぶこともありました。
いずれにしろ、ごく少数の趣味人が楽しむもので、ちょっとオシャレな遊ぶのに費用がかかるスポーツというイメージでした。当然、小中学生が気軽にできるようなものではありません。
それからいろいろあって、大学生のときに初めてサーフィンをしました。
ボードもウェットスーツもレンタル。
でもすごく楽しかったのを覚えています。
とにかく海で遊んでいられるだけでハッピーでした。
そのときもぼくにとってはスキューバーダイビングはまだまだ高嶺の花でした。
でも世間ではスキューバーダイビング人気が高まっていて、OLが気軽にやるスポーツという位置づけになっていました。以前よりもポピュラーになり、ぼくにとっても身近になったわけです。
それからしばらくはとても遊んでいるような状態じゃなくて、ようやく周りの状況が落ち着いてきて、やっとスキューバーダイビングができました。1990年代前半のことです。
初めてスキューバーダイビングに行く時のうれしい気持ちは今でもはっきり覚えていて、東京のダイビングショップから、ハイエースに乗り込んで東伊豆に向かった車中では、期待でかなりはしゃいで、同行するオープンウォーターダイバーの講習生とくだらないギャグをかましてました。
東京から東名→小田厚という経路で伊豆に向かうと、伊豆の入口、早川から真鶴道路に向かうあたりで初めて海が見えるんですが、窓の外の暗くなった海をずっと眺めていました。
ぼくが教わったのは女性のインストラクターで、なかなかかわいくて、スタイルもいい人だったんですが、彼女が車の運転をしながら、語ってくれる言葉、「明日の潮回り」「ダイブサイト」「エントリーポイント」「東風が吹かないといいね」「沖はうさぎが跳ねている」みたいな海用語が耳に新しくて、カッコイイなと思いました。
おきまりのステップを踏んで講習をすると、いよいよオープンウォーターで潜るんですが、初めての海の中はすばらしい体験でした。
オープンウォーターというのは海のことです。
反対にクローズドウォーターは限定水域と訳し、プールなどのことをいいます。
魚と同じ目線、環境なんですね。
今まで見たことがない魚が普通に目の前を通り過ぎていくんです。
それから浮いている感じがたまらないんです。
中性浮力がとれていると水中に安定して浮いていられるんですが、その状態で何分かいると、だんだん左右上下の感覚が麻痺してくるんです。
空を飛んでいる感覚というのに近いと思います。(空を飛んだことがないんですけどね)
あと気に入ったのは静かなことです。
タンクの空気を吸う自分の呼吸音はするんですけど、基本的に静かなんですね。
目を閉じて、自分の呼吸に意識を集中していると、ちょっとヨガっぽい気分の落ち着きが得られます。
もしかして赤ん坊というのはお母さんのおなかの中でこんな風な音を聴いているんじゃないかと思いました。
ぼくはすっかりダイビングにはまってしまって、アルバイトをしてはダイビングにつぎ込むようになり、社会人として働くようになっても、しばらくはダイビングにのめり込んでいました。
それ自体はまったく後悔していなくて、いつもウォータースポーツをしながら、毎週のように海に出て過ごせて良かったと思います。
同じ会社の同期の中には、仕事一辺倒だったり、きちんと貯金をしている人もいましたが、ぼくはその時しかできないことを全力でやろうと決めていました。
だいぶ歳をとってきて、家族もでき、身体の心配をしなければいけない今になってみれば、若いうちにやりたいことをやって良かったと思います。
さらに望むならば、もっと冒険的なことをやれば良かった。世界中に行ってみたいダイブポイントは山ほどあるんです。そういうところに行けば良かったですね。
ぼくがダイビングを始めた頃は、ダイビングが流行っていた時期の後半です。
どこにいってもダイブポイントやダイブサービスは混んでいて、環境としてはあまり良い状態ではありませんでした。
朝の7時着で場所取りとか、エントリー(海の中に入ること)の順番待ちとか、器材洗い場が混んでるとか(ダイビングが終わった後、器材を洗うのですが、洗うための風呂桶みたいなところが混んじゃってなかなか順番がまわってこない)、そんなことがザラにありました。
これは一番困ったことで、今もたまにあるんですが、珍しい魚が出るポイントにはみんながいくので、最後の方は、魚が逃げているとか、砂が舞い上がって透明度が落ちているということもよくありました。それを避けるためにみんなが早く潜ろうとしていたこともありました。
そういうことを考えると、今の方がノンビリ、ゆったりとダイビングができていいですね。
激しい競争のせいでしょうか、今はダイビングサービスやガイドも値段やクオリティの面で以前よりも格段に良くなっています。
ダイビングを楽しむなら今がいいですね。
もちろん今もダイビングを続けています。歳のせいか、いろいろ忙しいせいか、潜る回数は以前より減りました。
ダイビングのスタイルもずいぶん変わりました。
長期の休みが取れないので、海外へはなかなか行けません。沖縄さえめったに行けません。日帰りか1泊で伊豆あたりのダイビングが多いですね。
以前のように電車を乗り継いで東伊豆に行くことも少なくなりました。
親しいダイビング仲間と車で行って、2本潜って、おいしいものを食べて、温泉に浸かるというパターンが定番です。でもこれがすごく楽しいんです。1日3本とか4本というムリ目のダイビングをしなくなって、余裕を持って潜るようになったせいか、ダイビングも楽しいし、アフターダイビングも楽しいのです。
ダイビング自体はそれほど体力を使うスポーツではないので、年齢が高くなって体力が落ちても、きちんとした安全管理と無理のないダイビング計画をすれば、安全に楽しめます。
そういう意味では、中高年でブランクのある方も、もう一度ダイビングに戻ってきたらどうかな、と思います。
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