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ぼくが魚釣りをやめたわけ ~あるいは魚食や水産資源について~

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 ぼくが小学生の頃、ちょっとした釣りブームがありました。小学生の高学年になるとみんな釣りをやるんです。ぼくもよくやりました。
 それからはたまーに釣りに行く日々が続きました。

 そんな状況が変わったのは、大学生になってスキューバーダイビング始めたときです。
 スキューバーダイビングというのはご存知のとおり、魚を見ることがメインの楽しみなわけですが、水中に入って魚を眺めると「魚というのは有限なんだ」ということが一目でわかるんです。
 海の中のどこにでも、やたらめったら魚がいるわけではなくて、岩場や藻場などにかたまって数えられるくらいの魚がいるということです。
 そしてそれぞれの魚が生き残りのためにいろいろな工夫をしているということも知りました。
 もちろんこれは1990年代前半の伊豆の話しでして、海外などの他の場所に行けばもっと魚がいる場所はあったと思います。
 ただ、相模湾とか駿河湾の水深30m程度のところではそんな状況でした。

 そんな経験をして、ぼくは魚釣りをきっぱりやめました。
 とても釣りをする気にはなれませんでした。
 それはたとえば、釣りで70cmくらいの石鯛を釣れば、これは大喜びするような釣果なんでしょうが、石鯛が70cmまで育つのって結構たいへんなことなんだということを知ったからです。
 海に潜ると、そのサイズの石鯛をそんなに見ることはあまりありません。
 つまりその鯛はかなり貴重で、過酷な生存競争を生き残った鯛なんですね。
 それを釣り上げて喜んでいるというのはどういうものなのか?と思いました。

 それからおよそ20年くらい経ち、海の中の魚の数は間違いなく減っています。
 ぼくはよく伊豆で潜るのですが、昔はけっこう魚がいたポイントであっても、今はかなり少なくなっています。いたとしても型が小さくなっています。
 原因はいろいろな説があって、水質汚染だとか、海の環境が荒れているとか(これはダイバーのせい?)、森や川が劣化していて海に養分が注ぎ込まないからだとか、乱獲だとかです。
 その中でも最も有力な説が乱獲です。

 これは伊豆や日本の海に限ったことではなくて世界的な問題になっているようです。人間が増えすぎて、その食料として魚を獲り過ぎて、魚がいなくなりつつあるということです。

 そのためいろいろな団体が、どのような魚を食べるべきで、どのような魚を食べるべきでないかの指針を出しています。

MSC認証
 MSC認証ラベルがついた魚を選ぶと海の環境保全に貢献することができます。

Seafood WATCH
 欧米の情報が中心ですが、どの魚が稀少なのかわかります。iPhoneアプリも出ています。

おさかなガイドブック
 CBD市民ネット 沿岸・海洋作業部会が作成したリーフレットで日本の魚食の現状や問題点がわかりやすくまとめられています。

魚食スペシャリスト検定
 日本人の伝統である魚食と漁業資源のバランスを考える基礎知識を得ることができます。

 これらが示しているのは、養殖が可能な魚や比較的数の多い魚を食べるようにして、絶滅危惧のある魚を守ろうということです。


 話しは変わりますが、魚の減少は漁業の問題も大きいのです。
 日本では水産庁が魚種毎に漁獲量制限を設けています。これをTACといいますが、この制度ではTACの制限値に達したところで捕獲抑制が発動されますが、そうなると漁業に携わる人としては、早いうちにたくさん獲っておこうという動機づけがなされてしまいます。これをオリンピック制度というそうです。
水産庁『我が国における資源管理の現状と課題』
水産庁『TAC制度の現状と課題』


 大規模な船で早くたくさん魚を獲ってしまおうという状況が世界的に起きているようです。

 また、漁法によっても魚へのダメージが違っていて、たとえばダイナマイト漁、延縄漁、底引き網漁などはダメージが大きいとされています。

 おおまかにいえば、増える人口に対して水産資源をどうやって長持ちさせるかが国際的な課題となっているということだと思います。

 ぼくは海が好きです。魚を見るのも好きですし、魚を食べるのも好きです。かつては魚釣りも好きでした。
 たぶん海や魚に思い入れのある人ほど、これからは海や魚との付合い方を考えなければいけない時代になりつつあると思います。


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