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若者の車離れ あるいは車は自由とほぼ同義だったぼくの価値観










 若い人の車離れということがいわれてるみたいですね。
 確かにぼくの周りの若い人で、都会に住んでいて車を持っている人は、ぼくが若い頃よりも少ない気がします。ぼくが若い頃(といっても1990年代後半でしたが…)は、就職すると車を買う人が結構いました。もちろん恵まれた人は大学生のときにBMWとか乗ってましたけど…

 ぼくは大学生の頃にサーフィンを始めました。当時はぜんぜん流行ってなくて、大学生とか知的な人がやるという雰囲気ではなくて、ちょっとよくない表現かもしれませんが、高卒だったりガテン系の人がやっていることが多かったんです。それからスキューバーダイビングも始めました。
 車がなかったので、電車で海に行くわけですが、荷物が重いのと、周囲の人の邪魔になるのと、始発から終電という電車運行の制約の中でサーフィンやスキューバーダイビングをやっていた感じです。
 当時のぼくにとってこの制約は、すごく邪魔なもので、もっと自由に気が向いたときに海に行きたいと思っていました。だから車はどうしても欲しい物だったんです。

 で、働き始めて何年かしてボチボチ貯金もできたので、中古の安い日産テラノを買いました。マニュアルで8万キロ走っていたかなー。
 車を手に入れたぼくの行動範囲はグンと広がりました。金曜日の夜、仕事が終わったら、車に遊び道具を積み込んで、海まで走って、1日中サーフィンをしました。そして日帰り温泉でさっぱりし、地元の定食屋でメシを喰い、車中泊をしました。そして日曜日もサーフィン。そして渋滞が緩和される日曜日の深夜に帰宅して、ちょっと寝て、仕事に行くという週末をずっと続けていました。サーフィンがスキューバーダイビングに代わったり、時には両方だったりしましたが…

 行き先も変わりました。電車が通ってなくても道路さえあればいいんですから、渥美半島、浜名湖、御前崎、伊豆、房総、茨城と行きたいところへ行きました。

 車を手に入れるということは、ぼくにとっては自由を手に入れることと、ほぼイコールだったんです。

 ぼくは昔から変わらない考えがありまして、貯金はあまりしません。そのとき楽しめることにお金を遣います。それは自分を成長させることに投資するとかそういうのとも違っていて、一度しかないジンセイで、その年代というのは二度とないわけで、その瞬間を楽しむことは、お金には換算できないけれど、価値のあることだという信念があるからです。
 もちろんぼくのような価値観が一般的ではないことは重々承知していますし、時に破滅的な放蕩者のような生き方になってしまうかもしれません。でも、そういうのって人それぞれ変えられない部分だったりするのではないでしょうか?
 貯金の残高が増えるけど、何の経験もしていないジンセイというのは、ぼくにとって映画の(小説の)クリスマス・キャロル的に空虚な印象です。






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