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海は広いし大きいし自由だし



 青い海、遠くまで広がる水平線、それと接する空、見渡す限りの海、ありきたりな表現ですが、そんな風景が好きです。
 早朝散歩しながら、休日海遊びしながら、そんな風景を飽きもせず眺めています。
 これもありきたりな表現ですが、でっかい海を見ていると、日常生活のイヤなことや悩みってどうでもよくなるんです。すべてはとるに足らない小さなことで、何十年、何百年もすれば跡形もなく、誰も知ることもなくなってしまうと思うと、それに思考を割いている自分がバカバカしくなります。
 っていうか、もともとかなりバカで愚かな存在だと思うので、まあしょーがないっていえばしょーがないわけですけど…
 そいでね、奥さん、アタシ思うのよー、っていきなりオバサンになってしまいますが、そうしたことを強く感じるのも、アタシが普段は、というか平日は、会社というところで、細かいことを気にしながら仕事をしなければならない状態で、それをとるに足らないくだらないことだ、もうちょっとはっきりいえば「どうーでもいいじゃねぇか」と本心では思いながらも、食べていくためにそうした環境でソツなく過ごさなければならないからでしょう。だからこそ対照的な海という自然をより素晴らしく感じるのでしょう。
 ぼくの中の感覚にある、その対象を文字にすると…
平日は灰色=建物のコンクリートやオフィスの壁紙の色
休日は青色=海の色
です。
 そしてもう少しいうと…
平日は不自由=会社や社会のルールに縛られている
休日は自由=海はみんなのものだし、あまり大したルールはない
です。
 そいでね、さらにいうとさー…
平日は守られている=街のインフラとか治安とか会社という組織に守られている
休日は自分の身は自分で守る=自由である代わりに死なないように怪我しないように飢えないように自分で気をつけなければならない
という感じなのよ。アハハ。わかってもらえないかもしれないけどー。
 ぼくは、ふと、会社勤めをしないで、ずっと海辺の田舎で生計を立てながら暮らしていきたいなあと思ったりしますが、そうしたときに果たして今ほど海のありがたさを実感しながら日々を送れるかなあと疑問に思ったりします。今は、平日の不自由さとか、くだらないヤツとの接触があって、そこから解放される海という存在の特別感があるわけですが、それが日常になったら今ほど嬉しいだろうか、と考えたりしますが、みなさんそんな風に考えることありますか?っていきなり訊かれても困るかもしれませんけど…
 卑近なたとえですが、いつもは発泡酒を飲んでいて、たまにプレミアムモルツを飲むとおいしいわけですが、毎日プレモル飲んでいるとそれが当たり前になっちゃって、有り難みや嬉しさが感じられなくなるんじゃないかなあ。 
 まあ、それはともかく海でも山でも自然の中に入っていって、独りであるいは気心の知れた仲間だけで行動したりする人の気持ちはよくわかりますし、隠れ家みたいな場所を作って、自分の世界に没頭したい人の気持ちはわかります。本来的に男はいつまでたってもガキなんではないでしょうか?
 大人の男として、社会や家庭という場で、そこそこ役割を果たさなければならないわけでー、これもありきたりな表現ですけど、普段は社会人・夫・父としての役割を演じなければならなくて、でもたまには本来のガキの自分に戻りたいがために、社会や家庭という場から隠れてしまいたいという欲求を持つのではないでしょうか。






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