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危険でパニックになりそうな寸前が一番生きている気がします

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 今回はとりとめのない話です。というかいつもとりとめがないんですが…


 ぼくはかれこれ20年近くスキューバーダイビングをやっています。
 その間に何度か「これはやばいな、死ぬかな」と思ったことがあります。

 いくつか具体例を挙げてみます。ダイビングの経験がないとわかりにくいかもしれませんが…

 ひとつは、流れの速い上級者向けのポイントに潜るときでした。ガイドから事前のブリーフィングで、ボートからヘッドファーストでエントリーして5m下の根にしがみつくようにといわれました。根の陰に入れば流れは収まっているからと…
 その根からはずれると、あとは水深30m以上で、何も手がかりになるものはないから、一人でもうまくたどり着けなかったら、全員浮上するという計画でした。

 ダイビングでは通常エントリーする時は、足から、立っている状態でゆっくり潜水していきます。その間に耳抜きをしたり、BCという浮力調整機能付きのライフジャケットのような物の浮力を調節したりするわけです。
 ヘッドファーストで行けということは、ボートの上でBCの浮力をできる限り抜いてしまって、頭からドボンと海に入って、フィンでキックして急いで岩場の突端までたどり着け、そうしないと流されるぞという意味です。

 ぼくはエントリーしましたが、流れが思ったより速く、全力で根までたどり着こうとフィンキックをしているうちに、こういう時に限って足がつってしまったのです。それで流されてしまいました。
 やばいなと思ったので、ゆっくり浮上して水面に出ていると、やはり何人かうまくたどり着けず、流されているではないですか。
 そいつらに声をかけて、お互いにタンクのバルブを掴ん離れないようにして、レスキューフロートを上げました。

 船が助けに来てくれるとわかってはいるものの、流れがかなり速くて、見る見るうちに、船が遠ざかっていきます。
「もしかしてこのまま漂流しちゃうかな?」という考えが頭に浮かびました。
 結局、船はちゃんと見ていて、ぼくらのところまで来てくれて、無事上がることができました。


 長くなりますが、もうひとつの例を…

 そのときは普通のビーチエントリーのダイビングで、最大水深30mまで潜って上がってくるという単純なプランでした。ぼくのバディはそのダイビングで初対面の経験の浅い女の子でした。

 ガイドが先頭で3組計7人で潜ったわけですが、ぼくのバディの子はフィンキックが弱くて、集団から遅れ気味でした。吐く息の泡を見ていると呼吸が速くなっているのがわかりました。ぼくはイヤな予感がしたので、できる限りその子のそばにいて、先頭のガイドを見失わないように注意していました。

 もうすぐ、距離にしてあと20mくらいで帰れるというところで、その子のエアがなくなってしまったのです。それでぼくはバディブリージングをすることにしました。といってもぼくも十分エアが残っているわけではなく、その時点で残圧50くらいだったのです。
 幸い水深は10mくらいでしたので、彼女のタンクバルブを掴み、引っ張るような感じでエキジットポイントを目指しました。ガイドや他の2組はもうエキジットしているのか、見えなくなってしまいました。

 最悪、ぼくのエアがなくなったら、浮上して水面移動してエキジットすればいいやと思っていたら、その時、バディの女の子がパニックを起こして、もがき始めたのです。
 もがくとエアも消費するし、彼女にエアを送っているオクトパスもはずれてしまうかもしれないので、さらに彼女に近づいて、ほぼ抱き寄せるようにして、オクトパスをはずさないようにぼくの手で口に押しつけながら、観念して浮上することにしました。

 水面で、彼女のBCにエアをいれて浮力を確保し、スノーケリングに切り替え、彼女の息が整うのを待ちました。大きな声で「大丈夫。もうすぐ岸だから。落ち着いて。深呼吸して」と何度も繰り返しました。
 彼女が落ち着いてきたようなので、手をひっぱりながら、水面移動してエキジットしました。


 さて長い話ですが、もう少しお付き合いください。

 実はシーカヤックでも何度か危ない目に遭っていまして、その時もなんとか無事でした。

 こんな話を書いて何がいいたいかというと、当時のことを思い出すと、ぼくはそういう自分が死ぬかもしれないという場面で、自分でもびっくりするくらい冷静で、どちらかというと、ワクワクしていたということです。
 頭も冴えていて、すごく多くの条件を考えながら、生き残るためにベストな行動は何かを瞬時に選んでいました。普段の仕事でこんなに頭が働いたことはありません。

 もちろん恐怖感はありますが、それを超えるくらいのワクワク感があったのです。うまくいえませんが「自分が生きている」という充実感があったのです。もうちょっとでパニックになりそうだなという一歩手前が、すごく「いい感じ」だったのです。

 このときのことを思い出すと、仕事でミスしてヤバいとか、大きな仕事でここ一番という時でも、ぼくはぜんぜん大丈夫なのです。逆にちょっと物足りないくらいです。

  ぼくの場合、生きるために頭をフル回転させるとか、生きている実感を得るという意味では、死ぬかもしれないくらいの状況がちょうどいいのかなあと思います。

 誤解を防ぐためにも付け加えますが、ダイビングのすべてがこんなに危険なわけではないですよ。手順どおりやっていれば、ほぼ安全なスポーツです。

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