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視界の広がりの大切さ

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 ずーっと以前のことですが、街に住んでいたことがあります。その頃のことで今でも忘れられない、ちょっとした出来事があります。

 遅くまで仕事に追われる日々で、ある週末、ふとしたことで多摩川の川原を散歩したときのことです。目の前に広がった川原。向こう岸の街。広い空。あのときの開放感や気持ち良さは、今でも思い出すことができます。

 そしてそのとき感じたのは、自分が毎日、視界のふさがった空間で暮らしているかということです。
 建物が密集し、ビルで空は小さくしか見えない。そんな風景が当たり前になっていました。
 毎日が、都心にある会社と周囲に建物が密集した自宅のマンションとの往復。
 たぶんそうした日々の中で、当たり前になっていた閉塞的な生活の異常さに対して、ぼくの心の奥のアラームが「警告」を発したんだと思います。

 これはヤバいんじゃないか?と自覚したので、それからというもの週末は朝4時頃に起きて、伊豆にダイビングに行ったり、外房にサーフィンに行ったりすることを、なかば義務のようにしました。

 そこには広い空と海が広がっていて、いるだけでココロの奥のコリみたいなものがほぐれていく実感がありました。肩こりが慢性化すると、肩がこっていることにすら気がつかないで、マッサージに行ってこりがほぐれると、その時初めてどれほど肩がこっていたのかわかる、っていうのと似ているかもしれません。

 週末にココロの奥のコリをほぐす時間を持つことで、ぼくのぼくらしさは、かろうじて保てていたんだと思います。

 その頃から、いつかは海辺に住みたいと自覚するようになったんですね。

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