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沖縄の、人口が少ない、島で暮らしたいな〜



 ぼくは海が好きで、東京から海辺に引っ越して30年くらい経ちます。今も会社は東京にあるので、電車で2時間かけて通勤しています。
 今、住んでいる海辺の町が好きです。
 が、ぼくは割と人口の少ない田舎の海辺、できれば島に住みたいと長年渇望しているんです。
 なぜぼくがそんなに小さな島に住みたいのかというと、人混みが苦手なので人口密度の少ない海辺に住みたいためということと、住んでいる人の顔が見える人口規模の集落に住みたいためということと、島というのは人の出入りがある程度制限されていて緩やかな閉鎖空間になっていて安心できるからという理由のためです。
 なぜぼくがそんな風に考えるようになったかというと、何年も前に旅行した島旅の経験によるものです。
 ぼくは島でのスキューバダイビングが好きで、伊豆七島を始めとして、いくつかの島を旅しました。
 その中で、沖縄の多良間島の旅が印象に残っています。その多良間島で経験した印象的なことを書きたいと思います。
 多良間島には2週間ほど滞在しました。多良間島は人口が、たぶん1000人程度の島です。宮古島から船か飛行機で行くことができます。東京から行くことを考えると宮古島への直行便の飛行機に乗って、宮古島で乗り換えるということになります。その一手間がかかるので、観光客も比較的少な目で、宿の数も限られています。
 スキューバダイビングのサービスは1軒のみ、レンタカー屋は1軒、スーパーというか雑貨屋さんは2軒、という感じのこぢんまりとした町の構成になっています。
 そこでスキューバダイビングを中心に滞在したのですが、そんな島に2週間もいると、島の人もぼくの顔を覚えてくれて、道で合うと挨拶してくれたりするようになりました。
 あるときぼくの泊まっている民宿の駐車場にぼくの借りたレンタカーを停めていたのですが、ぼくの車の奥に宿の主人の車が停まっているときがあって(停めていいといわれたので停めたんですけど)、主人がぼくに車を移動させてくれといいに来ました。
 ここまでは、まあよくある話しですが、その続きがありまして、その主人が「車に鍵をかけないで、キーはつけっぱなしにしといてくれ。この島ではみんなそうしているから。誰も盗んだりしなから。」というではないですか。このときぼくは、普段自分が暮らしている町との違いを感じました。
 それからは車はキーはつけっぱなし、ついでに自分の部屋の鍵もかけなくなりました。
「鍵をかける」という行為は、普段の暮らしでは当たり前のことだと思います。家の鍵をかけ、自転車の鍵をかけ、車の鍵をかけ、と何気なく当たり前のようにやっているわけですが、この作業をしないでいい状態になると、その解放感は想像以上に大きいんです。
 大した作業ではないんですが、「鍵をかける」という行為の背後には、自分の物を盗もうとする輩から自分の物を守らなければならないという、他者を疑い、警戒する気持ちがあるんだと思うんです。
 この気持ちから解放される日々というのは、とても気持ちが軽くなるんです。心理的負担が軽くなるといってもいいかもしれません。外敵から自分を防衛しなければいけないという気持ちから解放されるというのはとても大きな意味があるんだと実感しました。
 喩えるならば、治安の悪い外国旅行から日本に帰って来たときの解放感や安心感に似ているかもしれません。
 そんな経験をぼくは多良間島の旅で経験しました。 
 もうひとつの多良間島での経験で印象的なことといえば、雑貨屋での出来事です。
 その雑貨屋はオバアが一人でやっているんですが、品揃えは、日常の食材からお菓子、飲み物、お酒、冷凍食品、洗剤、シャンプー、消臭剤、ゴミ袋…と、まあキリがないんですが、スーパーマーケットっぽい品揃えながら、どうみても雑貨屋というかよろず屋、雑貨屋といっても東京にあるようなオシャレな雑貨屋ではありません。昭和っぽい佇まいの駄菓子屋のような店内の雰囲気です。
 で、あるときぼくが店に行ったら、オバアがいないのです。店のドアは開いているし、照明は点いているので、休業というわけではなさそうです。「すみません」と何度か大声でオバアを呼んでみたのですが、店の奥から出てくる気配はありません。どうしたもんだろうとしばらく店の中で呆然としていました。そうしたら偶然に島の人が入ってきて、パンとか食器洗い洗剤とかスポンジなどを手に取って、代金をレジのところに置いていくではないですか。島の人はぼくに「オバアは近所でおしゃべりしてると思うから、買い物をして代金をおいておけばいいんだ」という意味のことを訛りの強い言葉で教えてくれました。
 ぼくはこれまで野菜の無人販売というのは見た事がありますが、それの拡大版といえば、そういえるかもしれません。それにしてもなんとも開放的で、かつ牧歌的で、人の良心を前提にした店の経営のしかたです。
 理由がうまくいえないのですが、ぼくは感動していました。こういうコミュニティなら暮らしやすいだろうなと思いました。
 ここでも他人を疑うというか、他者の悪意から自分を守るという警戒心がない暮らしだということがわかります。先ほどと同じで、警戒心を持たずにいられるということは心理的にとても負担がかるくなるんですよね。
 最後に多良間島での経験をもうひとつ書きたいと思います。
 2週間くらい滞在していたんですが、だんだん島の人がぼくの顔を覚えてくれて、道で合うと挨拶してくれるようになりました。
 人とすれ違うと挨拶するという行為は、都会の道ではあまりないんじゃないかと思います。もちろん知り合いと会ったとか、近所の道とかならありますけど…
 それで、あるときぼくが道を歩いていると雑貨屋のオバアがレンタカー屋のオバアと、レンタカー屋の家の縁側でお茶をしていました。ぼくが通りかかると、手招きして、ぼくにもお茶を出してくれたんです。で、2人はおしゃべりを続けていて、訛りが強いので、大意しか分かりません。でもぼくに話しかけるときは大和言葉で話してくれます。そのゆるい時間がなんとも心地よくて、「あぁ、こういうのいいなあ」と思いました。
 3つのエピソードを書きましたが、ぼくはこうした雰囲気というのは、沖縄の、人口が少ない、島、だから成り立ったんじゃないかなあと思うんです。あんまり根拠はないんですが、なんとなくそうじゃないかな~って思う程度ですけど…
 他人に対して警戒心を持たず、ゆるいルールで、時間に追われずに暮らすというのは、たぶん精神衛生上、いい方向に影響しているんじゃないかなと思うんです。
 で、当然ですが、首都圏に住んでいるぼくとしては、こういう島の暮らしに憧れているわけで、妻になんどもこの手のエピソードを話して、沖縄の離島への移住を提案してみたりするんですが、読んでいる方も予想できると思いますが、毎回、即却下です。というか移住に関する問題点をとうとうと並べ立てられて論破されているのでした。まあ、それが普通ですよね。
 あぁ、でも島で暮らしたいな〜

◆島へ移住した人の本をピックアップしてみました



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