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流行にのらない海遊び



 ぼくは学生時代をバブルとバブル崩壊で過ごしました。
 その頃、大学生であるぼくの周りの友人は、独り暮らしだけど車を持っていたり、株式投資をしていたりしました。大人も大人で、多くの人が、株式投資をしたり、投資用ワンルームマンション買ったりしていました。そこまでいかなくても、多くの人が疑問も持たず、1着数万とか数十万位する服を買って、ワンシーズンしか着ないみたいなことをやっていました。ユニクロのような服(当時はまだユニクロは普及していませんでしたけど…)を着ていると、周囲の人にバカにされました。
 機能を満たしたリーズナブルな服が普通に着られるようになった今は、昔に比べれば暮らしやすい気がします。特にぼくなどのような無頓着でお金がない人には、デフレの世の中は暮らしやすいです。いやーめでたしめでたし。
 あれっ?何を書こうとしてたんだっけ?
 こうした現象は経済を成り立たせるという面では、別に悪いことではなくて、むしろたくさんお金を使うことで経済が活性化するという面では良いことともいえます。その後ロスト・ディケイドを経験した今では、経済学的には、お金を使えば使うほど活性化するというのは、理論的に正しいようだなと思えます。
 ただ、人の暮らし方という面で考えると、無理があったり、ともすると気持ちが荒んでしまうという面もあったと思います。
 そんな時世の影響か、サーフィンを趣味としていた大学生であるぼくの周りにもバブルの影響がありました。お金がかかる遊びがいいこととされ、船をチャーターしての海上パーティーとか、豪華客船でのクルーズというのが流行っていました。お金がかかる遊びに人が集中するという面では、サーフィンは見向きもされず、ウインドサーフィンとかクルージングとかスキューバーダイビングに人が集まっていました。
 そのためスキューバーダイビングの講習費は跳ね上がって、ポピュラーな講習先である大島とか八丈島は宿や飛行機が予約できないという状況が起きていたのです。いずれCカードを取りたいと思っていたぼくとしては、バイトで貯めたお金では到底足りず、諦めかけていたのです。でもその後、バブルがはじけて、スキューバーダイビングの講習費は値下がりし、ぼくはスキューバーダイビングを始めることができたのです。いやーめでたしめでたし。
 ぼくは、高校から大学という、人として、もう少し踏み込んでいうと男として、多感で成長する時期に、そうした世の中の動きを見て過ごしたのです。
 そこから得た教訓を少し挙げますと…
お金は大切だけど、それは手段に過ぎない
経済に振りまわされてはいけない
流行っていることをやるとロクなことがない
時代は変わる 世の中は変わる 正しい基準も微妙に変わる
ということです。他にもいろいろなことを学びましたが、経済と自分の距離感に関係することとしては、だいたいそんなことを学んじゃいました。できればバブルの恩恵を受けて浮かれてから学びたかったのですが、ぼくはバブルブレーク世代なのです。
 先ほども書きましたが青年期の影響というのはその後の人生に大きな影響を与えるものかもしれません。
 その後ぼくは、多くの人がやろうとしていること、やっていること、つまり流行っていることを努めてやらないようになりました。妻いわく「少し意固地なんじゃない?」というくらいに…「普通は流行っているみたいだからちょっとやってみようかなって思うでしょ」…「それが違うんだよね」…「みんながやっているとやりやすくなったり、みんなと話が合ったりするじゃない」…「人と話を合わすためにやるわけじゃない」…以下いつものやりとりが繰り返される…、という感じで、バブルの影響は夫婦関係にも微妙な影響を及ぼしたりして、えらい迷惑なのでした。
 なぜ流行っているのをやらないのかというと、理由がふたつあって、ひとつは勘違いした人が入ってくるのでその場が荒れるということと、サービスが下がって価格が上がるからです。
 以下はぼくの想像ですが、おそらくメカニズムとしてはこういうことが起きたんではないかと思うのです。たとえば屋久島とか小笠原諸島が自然遺産に登録されて、観光客が増えたときがありました。そのときその2つの島の自然の貴重さを理解して訪れる人の割合は、おそらくそれまでよりも下がったと思うんです。自然遺産に登録されたからという理由で観光に来る人が増えたわけです。それによって現地の自然ガイドの人はわからない人に貴重な種のことについて話したりするわけですが、そこがちゃんと伝わらなくて虚しい思いをしたんじゃないかと思うのです。あるいは本来入っちゃいけないところに入っていったり、自然を粗雑に扱ったりして、自然を壊したりしたこともあったと思うのです。ざっくりいうと猫に小判、豚に真珠で、価値がわからない人に、貴重な自然を見せても無駄というわけです。
 ガイドの人だって価値を本当に理解してくれる人に説明した方がやりがいがあるんじゃないかなーと思うのです。
 それからやはりガイドひとりが受け持てる観光客の人数は上限があって、いくら頑張っても何百人も増やせないでしょう。そこに何千人単位で観光客が増えれば、予約は取りづらくなるでしょうし、価格も上がると思うのです。これもざっくりいうと、自然を対象にするようなサービスなんかでは特に、流行で千とか万単位で需要が増えたとき、受け皿はそんなにすぐに増やせないということです。
 観光客が増えて地域が経済的に潤うのはいいことですが、それは瞬間的なことでして、長期的にいいかどうかは、よくよく状況を調べてみたほうがいいでしょう。
 それにねー、だいたい人というのは、人で混雑するとイライラしたり焦ったりするものです。それに仕事が忙しくなれば、いくら好きな仕事でもやっぱり疲れたりイライラしたりするものです。そういうガイドさんに案内してもらうよりは、ゆとりを持って丁寧に案内してくれるガイドさんに着いた方がいいように思うのです。
 そんなわけで、ぼくの流行にのらない方針は、その後存分に発揮され、10年くらい前にサーフィンがまた流行り始めたら、ポイントが混んでうっとおしいのであまりやらなくなりました(すごく波があってポイントが空いているときは出ます)し、シーカヤックが少し流行り始めたら、その間控えていました(その後流行りが過ぎたので今はよくやります)。スキューバーダイビングもセイリングも流行が来ないので、悠々自適に楽しんでいます。
 そこには本当に潜りが好きな人や風などの自然を相手に頭を使いながら走るのが好きな人(ばかり?)がいます。そんな仲間と混雑していない環境で遊べるというのは、とても快適で楽しいのでした。




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