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「運が悪けりゃ死ぬだけさ」




 ぼくはずーっと昔の若い頃、日テレで放送していた『俺たちは天使だ』が好きで、再放送を録画したのを何度も見ていました。日テレのアクション物ファンは大勢いて、『気まぐれ天使』『探偵物語』『プロハンター』などと、それぞれ好きな番組が微妙に違っていて、その話をし始めると、酒を飲みながらかなり盛り上がるわけです。

 まあそれはおいといて、『俺たちは天使だ』の中でキマリの台詞がありまして、それは「運が悪けりゃ死ぬだけさ」というものです。
 海遊びをン十年続けてきたぼくの気持ちは、この言葉にとってもしっくりくるのです。

 これまで多くの友人・知人にこの話をしましたが、すごく共感してくれる人と引く人とはっきりわかれます。大学生の頃付き合っていた優等生の彼女には、「そんな運任せな考えはよくない。人は自分の最善を尽くすべき。ましてやすぐに死ぬとかいってはいけない」というようなことをいわれました。
 パチパチ(拍手)。
 まったくごもっともですね。

 ぼくの好きな言葉で、もうひとつ別なのがありまして、それは「敦盛」の「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」です。
 われわれが歯を食いしばって、すごく頑張って、ベンツを買ったり、大きな家を建てたり、大儲けをしたり、天下をとっても(現代で天下をとれる人がいるのか知りませんけど)、そんなの別な世界から見れば、とるに足らない、瞬く間の出来事なんだと思うんです。

 それを受けて、だからすべて運任せ、何やっても、努力しても無駄だからどうでもいいやというわけじゃなくて、ぼくの場合、だから細かいことを気にしないで自分の好きなことを思いっきり、全部やってしまおう、という考えになっていくわけでございますね。ぼくがどんなによほど頑張って大きな事をやってもたぶん大したことではないでしょう。

 海に出るとそれが身に浸みて感じられます。
 海の岩、根、地形、砂浜は、何千年、何万年という歳月を経てそこにあるわけです。
 おそらくぼくが触ったその岩には、縄文時代の人も触ったかもしれません。以来、いろいろな時代の人間がその岩に触ったかもしれませんが、その岩はただそこに変わらず存在するのです。一方で人の方といえば、誰が存在したかさえ、今やもう、誰にもわからないんですよね。
 ぼくは三浦半島に住んでいまして、油壺には三浦氏の城跡がありますし、鎌倉に行けば源氏の史跡がたくさんあります。
 およそ千年前には、そうした人達がまさにその場所を行き来し、戦っていたわけですが、その人達は今は誰も生きてはいません。

 ぼくがこうして海の上にいる瞬間、気を抜けば死ぬのは簡単でしょうし、もしかしたら今、どこかで大地震が起きて、津波がこちらに向かって来ているかもしれません。
 あるいはいつもの習慣で、歩いてすぐのコンビニに買い物に行く途中で交通事故に遭って死ぬかもしれません。ビルの建築現場の下を通るとき、上から物が落ちてきて下敷きになって死ぬかもしれません。

 ぼくには大きく分けてコントロールできないこととコントロールできることの2つがあって、おそらくコントロールできることが圧倒的に少ないんじゃないかと推測します。
 これも海に出るとしみじみ実感できることです。

 海に出るたび、自然の圧倒的な大きさと力強さ、そして自分の無力さを認識します。そして自分でコントロールできることに最善を尽くすのです。
 あとはコントロールできないのだからしようがない、でもそれに備えることはします。それを恐れはしません。恐れてはいけません。恐れては一歩も前に進めなくなります。たとえ何が起ころうとも、運が悪けりゃ死ぬだけなんですから…






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