海の贈りものを受けとる場所
「海辺で毎日をていねいに大切に暮らしたいな」と思い続けてきました。
海辺の暮らしの中で気づいたこと
海のすばらしさ・楽しさ
ウォータースポーツの楽しさ
などなどをご紹介できたらいいな。
ぼくの場合、海辺に住むのが大切でした。旅行ではダメなんです。
ぼくは海辺に移住して30年くらいになります。
ときどき知り合いから、海辺に住まなくても、旅行とか長期滞在すればいいんじゃない、といわれることがあるんですが、やっぱりぼくは海辺に住むことが大切だと思うのです。その理由を以下に書いてみたいと思います。
海辺に移住する前は東京の町に住んでいて、毎週末に伊豆や千葉にスキューバダイビングやサーフィンに行っていたのでした。毎週末といっても細かく記せば、金曜日の夜に会社から帰宅すると、すぐに車を海に走らせて、土・日と海辺で泊まって、月曜日の朝、東京に戻ってきてシャワーを浴びて、スーツに着替えて会社に行くというようなことをやっていました。
よほどの用事がない限り、そんな週末を過ごしていました。やがてなんとなく物足りなさが出てきたのです。端的にいえば、もっと長く海に接していたかったのです。そして海辺に移住しようと思うようになりました。
海辺に移住すると、毎日海辺から東京の会社に通う生活に変わりました。海辺に住んで何が変わったかというと、以下の4つです。
・ゆるいのんびりした空気感の中で暮らせる。
・いい瞬間はいつ来るかわからない。それを逃すことが少なくなった。
・海遊び仲間達と一緒にいられる。
・土曜日の朝にゆっくりしていられる。日曜日もゆっくり海にいられる。
それぞれについて説明したいと思います。
・ゆるいのんびりした空気感の中で暮らせる。
これが一番の変化でした。東京では日々の暮らしが、混雑と、先に先に急ぐ雰囲気と、他者からの防衛とがつきまとっていました。
それはスーパーでの買い物だったり、郵便局に行くとかだったり、レストランに行くとかだったり、すべての面で、人が多く、たいてい行列ができていて、道は渋滞していました。人は他人よりも先に行こうとしているようでした。いつも何かに急かされているような気がしていたものです。
市街地に住んでいる人にとっては当たり前かもしれませんが、家や車に鍵をかけなければなりませんし、道行く人に変なことをされないかも気をつけなければなりません。変な人がいたら、距離をとって警戒したりしていました。
当時ぼくはすでに結婚していたのですが、妻が、住んでいたマンションのエレベーターで見知らぬ男性にしつこく話しかけられて、自分のフロアに着いても降りられないということがありました。オートロックのマンションですが、多くの世帯が入っていたので、誰が住んでいるかわからず、怖い目に遭ったのです。
また、マンションの同じフロアの家でDVみたいなことがあったみたいで、そこに警察が来たこともありました。うちにもその家の普段の様子について、警察が聞き込みに来ました。
誰が住んでいるかわからない匿名性って怖いなと思ったものです。
今住んでいるのは首都圏の海辺ですが、東京の暮らしで起きたことは、ひとつも起きていません。列に並ぶということはほぼありません(年に1回くらいあるかもしれないけど)し、列ができていたとしても譲り合いますし、車で合流するときもすんなり入れてくれます。常にノンビリした空気感に包まれて生活できています。
鍵をかけるということも、ぼくの家やぼくの知り合いの家では、あまり行われていません。といっても長時間、家を空けるときは鍵をかけます。本当は田舎だからといって油断してはいけないと思うんですが、ほぼ犯罪は起こりえないので、家にいるときに鍵はかけません。車も家に置いてあるときは鍵をかけません。
家は奥まったところにあって、数軒の家が集落を形成していますが、その一帯に入ってくる人は、その土地がわかっている人だけです。ほとんど宅配便とか新聞配達とか郵便局の人です。それ以外の人が入ってくると、集落の誰かが見ていて、事によると声をかけたりします。
集落の誰が何をやっているのかというのもなんとなくわかっている(たとえばぼくの家なら、週末は旦那さんが家にいて、サーフィンやらシーカヤックやらスキューバダイビングやらの道楽をやっている、みたいに…)ので、高齢の方だけの家については、みんなが気をつけている雰囲気があります。何日か姿を見ないと家に訪ねていったりします。
物をもらったりあげたりというのもよくあります。
以前あったのは、ある家のお父さんが家のエントランスの階段から滑り落ちて、骨折したようで動けないので、それを発見した近所の人が救急車を呼んだというのがありました。ちょうど奥さんなど家族の方が出かけていて一人で庭の手入れをしていたときの出来事だったようです。
スーパーもドラッグストアも限られているので、レジの人は顔なじみで会話を交わしたりします。
ぼくには土地のそういう雰囲気が合っているみたいで、ストレスなく過ごせています。
・いい瞬間はいつ来るかわからない。それを逃すことが少なくなった。
海が好きな人はご存知だと思いますが、海にいると年に何回か(たぶん一桁)、すごく気持ちのいい日があります。天気が良くて、暑すぎず寒すぎず、湿度が低くて、潮風が心地よく吹いていて、空気の透明度が高い日。ウォータースポーツでいうと、サーフィンに適した絶好の波がある日。今日は絶対いい日だというのがあるのです。
そういう日があると会社に行く前にビーチを散歩したり、サーフィンしたりすることがあります。気持ちのいい日を逃さなくなったのも、海辺に住んでよかったところです。
・海遊び仲間達と一緒にいられる。
ぼくは近所のビーチで、シーカヤックやサーフィンやスノーケリングをしたりします。よほどの用事がない限り、週末は海に出ています。そうすると、真夏でない限りビーチにいる人というのは多くありませんから、自然にウォータースポーツをする人同士あいさつをするようになります。いつも顔を合わせる近所の人ならなおさらです。なので、ビーチにいると海遊び仲間に会えて、たわいもないことを話したり、最近の海遊び事情について情報交換したり、海遊びが終わった後に飲んだりといったことになります。そういう地元の海遊び人と接していられるのも、海辺に住んでいるからだと思います。
・土曜日の朝にゆっくりしていられる。日曜日もゆっくり海にいられる。
これは多分に気分的な問題だと思いますが、東京に住んでいるときは、海に行く時は前のめりというか、ガツガツしていたように思うんです。金曜日の夜は、なるべく早く海に行こうとしていましたし、海にいれば、できる限りウォータースポーツをしようとしていました。
海辺に住んでからは、そこまでガツガツとしなくなったような気がします。たとえば土曜日の朝、ぼくは5時頃起きますが、そこから朝ごはんを食べて、ゆっくりコーヒーを飲んでから、その日の海のコンディションにあったウォータースポーツをします。日曜日も夕方まで海遊びをして、お風呂に入って、晩酌をして寝ます。
ウォータースポーツを余裕を持って、ゆったり楽しむことができるようになりました。
以上が、海辺に住んでよかったことです。つくづく思うのは住環境って大切だなということです。それも建物内部だけではなくて、住む町の雰囲気も含めて大切だと思います。
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